結果 1 寒天ビーズに封入したS.aureusなかには、感染後7日目にマウス肺から10^5CFU/ml以上の菌が分離される株が認められたが、他の筋種については、肺より速やかに除菌された。 2 同量の菌数のS.aureus、NUMR1株を寒天ビーズに封入した場合と生理食塩水に浮遊させた場合で、感染後の肺、肝臓、腎臓内の菌数を比較したところ、寒天ビーズに封入した場合では、生理食塩水に浮遊させた場合に比べ有意に高い菌数が肺内より長期にわたって分離された。また、肺内からは他臓器に比べ有意に高い分離数が認められた。 3 寒天ビーズに封入したNUMR1株を感染後7日目の肺は、肉眼的には両側性多発性の肺膿瘍を形成し、病理組織学的にもH.E.染色では肺動脈周囲に増殖した菌とその周囲に集簇した好中球が認められた。また、PTAH染色では、菌塊周囲にフィブリンと思われる濃青色に染まる膜様構造物が認められた。 4 S.aureusのなかでも菌株によっては肺内から速やかに排除される菌株もあれば、肺内で増殖する菌株もあり、この肺内増殖性に関与する病原因子のひとつとして、コアグラーゼ価が肺内菌数と相関係数0.78と正の相関関係を示した。 5 コアグラーゼ欠損株(DU5843株)では、親株(DU5789株)と比べ、肺内菌数は有意に低かった。
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