研究概要 |
1, 臨床的には、北海道広尾郡の医師を通して看護婦や保健婦の啓蒙と、慢性過敏性肺炎患者の指導及び経過観察を行っている。劇症型過敏性肺炎例も現在は在宅酸素療法が不要となり、教育による抗原回避の効果によるものと考えている。既に過敏性肺炎や真菌性肺炎の欧文症例報告を発表し、有機粉塵中真菌の重要性に関する論文も予定している。2, In vitroでは、環境や有機粉塵から真菌抗原を検出する簡便な方法としてpolymerasechain reactionの応用を確立し、論文としてEur Respir Jに投稿中である。また、過敏性肺炎の新たな原因抗原として同定した3種のPenicilliumは、1997年に報告したカナダの農夫肺抗原であるP.brevicompactum,P.olivicolorや韓国皮革工場作業員の過敏性肺炎抗原P.echinulatum(未発表)と分類上同一もしくは近い種であった。世界の寒冷乾燥地域の有機粉塵におけるPeniclliumの重要性を4th Intemational Symposium “Rural Health andSafety in a Changing World",Cnadaで基調講演として発表し、現在論文を作成中である。3, 動物実験では、過敏性肺炎モデルを用いてerythromycinの治療効果とそのメカニズムについて接着因子を中心に解析し、Clin Exp Allergyにin pressとなった。4, 以上、本研究課題の臨床的、真菌学的検討については一応の成果をあげる事ができた。立場上、今後は薬学の研究が主体となり、1998年の呼吸器学会総会で薬剤性肺障害の全国調査を行ったことからも、外因性呼吸器障害発症機構解明のプローブを有機粉塵から薬剤に変えて、さらに多角的に検討していく予定である。これまでの研究成果は、今後薬剤性肺障害の研究を進めるための基礎及び比較データとして重要であり、また今後の研究成果を、職業性呼吸器障害の研究にフィードバックできることも期待している。
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