研究概要 |
特発性間質性肺炎(Iip)の病態における血管内皮細胞の変化とその病態における役割を知るため培養血管内皮細胞における接着分子発現やサイトカイン産生を検討した.ヒト肺動脈血管内皮細胞は,ブレオマイシンの刺激により培養上清中へIL-8や MCP-1を産生し,また,ICAM-1を発現したが,これらはアンチオキシダントであるN-アセチルシステイン(NAC)によって抑制されることが示された.マウスブレオマイシン(BLM)誘発肺線維症モデルを用いて接着分子intercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)の発現や動態jを検討した.また,抗ICAM-1抗体によって肺の線維化が抑制し得るか否か検討した.BLMモデルにおいては主として比較的早期の炎症形成期の病態にICAM-1抗体が関与していることが示唆さてた。また、炎症形成期に抗ICAM-1抗体を用いることで炎症細胞浸潤及びそれに引き続く線維化形成を抑制しえた.以上の結果より,血管内皮細胞は,炎症の早期に刺激に対してサイトカインの産生や接着分子の発現を起こし,炎症細胞集積など炎症を惹起し,それに引き続く線維化の形成に重要な役割を演じている.また,アンチオキシダントであるN-acetylcysteine(NAC)がサイトカイン産生や接着分子発現を抑制することから,線維化病態の改善において有効な治療法で可能性が示唆された.
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