われわれは5リポキシゲナーゼ遺伝子プロモーター領域に興味深い遺伝子多型を発見し、それが遺伝子の発現調節に関わっていることを明らかにした。本研究の目的は、日本人健常者および喘息患者についてこの遺伝子多型と喘息の病型、重症度、治療に対する反応性との相関を検討することにより、同遺伝子多型の臨床的意義を明らかにすることである。そのために現在までに慶應義塾大学病院ならびに関連病院に通院中の喘息患者300例以上に対してインタビューを行い、病型、重症度、治療など臨床データの集積を行った。さらに合意のもとに静脈血5mlを採取し、現有のDNA自動抽出装置を使用してDNAを分離した。またコントロール集団としての健常人300例についても同様にDNA検体の集積を終了した。また、我々はこれまでPCR-SSCP法、あるいは直接塩基配列決定法による5リポキシゲナーゼ遺伝子プロモーター領域多型の検出を行ってきたが、症例数を増やすにあたってより簡便なスクリーニング法として、SSLP(Simple sequence length polymorphisms)法を確立した。現在、同法により上述の喘息症例、健常人の5リポキシゲナーゼ遺伝子プロモーター領域多型のスクリーニングを施行中である。
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