研究概要 |
パラインフルエンザ4型ウイルスの亜型の4BウイルスのHNタンパク質の遺伝子解析を行った。また4BウイルスのHNタンパク質のcDNAに点変異導入を行い、糖鎖結合部位2カ所を4AのHNタンパク質と同じものを作成し、動物細胞で発現させ、その抗原性をflow cytometry法で測定した(Journal of General Virology誌に投稿中)。遺伝子解析の結果、4A-4B間のHNタンパク質のホモロジーはヌクレオチドレベルで87.2%、アミノ酸レベルで87.3%だった。1つの特徴は糖鎖結合可能部位が2カ所異なっていることである(Fタンパク質では同じ)。4A,4BのHNタンパク質は以上のようにホモロジーが高いが、抗原性が異なることを報告した。そこで点変異導入により、4BのHNタンパク質から4AのHNタンパク質に糖鎖結合部位を変えたcDNA、即ち1カ所ずつ変えたもの、2カ所変えたもの計3個のmutant cDNAを作成し、動物細胞にリポフェクチン法で構成的に発現させ、flow cytometry法でmonoclonal antibodyを使用して測定した。その結果、糖鎖結合部位が4BのHNタンパク質から4AのHNタンパク質に近づくと抗原性も近づいた。ただし糖鎖結合部位が同じでも抗原性に違いはあった。このことから糖鎖がある程度抗原性にかかわっていることが判明した。このことから、パラインフルエンザウイルスの中で4型のみが、4A,4Bの亜型を持つ理由の一つにHNタンパク質の糖鎖が関係していることが考えられた。
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