研究概要 |
1. 反復感染実験マウス結果の再検討:24週齢で50%に心筋梗塞を発症すると報告されている(NZW×BXSB)F_1マウスを用い,16週齢の時点でC.pneumoniae KKpn-15株10^4IFU/mouseを点鼻感染した。さらに感染35,42,49日後に3回反復感染を行い,63日後まで経時的に3個体ずつ屠殺,C.pneumoniaeの分離と肺および心臓の組織学的変化を観察した。(1)C.pneumoniaeの分離:初感染後3,7,14日の肺よりC.pneumoniaeを分離,PCRも陽性であったが21日以後は再感染後もC.pneumoniaeは肺,心ともに分離されず,PCRも陰性であった。(2)組織学的所見:初感染3日後から63日後まですべての時期において急性肺炎次いで慢性肺炎への移行を示す組織学的所見が得られた。しかし心筋梗塞や冠動脈硬化の所見は認められなかった。(3)蛍光抗体法による検出:初感染後の肺組織,とくに肺炎を起こしている肺胞腔内には陽性所見が認められたが,心筋や冠動脈ではいずれの時期においても陽性所見は得られなかった。(4)酵素抗体法による検討:ABC法により行ったが,再感染後の心筋から陽性所見は得られなかった。(5)冠動脈の周径と断面積についての検討:冠動脈内膜の肥厚度を定量的に評価するため,二次元画像計測処理システムを用いて,感染群および対照群の心筋標本から,内腔の周径が200μm以上の冠動脈について,それらの周径,断面積および断面積/周径比を算出した。感染群の冠動脈周径平均は398.8μm,断面積平均は6645.9μm^2,断面積/周径の平均は16.09であり,対照群と有意差を認めなかった。2. 臨床的検討:平成10年度に急性心筋梗塞で死亡し剖検し得た2例の冠動脈病変部より,PCR法および酵素抗体法により,C.pneumoniaeの検索を行ったが陰性であった。さらにヒタザイムC・ニューモニエAb-IgG,IgAを用いて82例について血清学的検討を行った。
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