研究概要 |
本年度は、胎児及び新生児ratを用い、MJD-1 cDNAより作成したradioactive cRNA probeを用いてin situ hybridizationを行った。在胎10日齢、17日齢については、摘出後4% paraformaldehyde 0.1M phosphate buffere saline(PBS)につけ、microwaveで急速固定を行った。また、出生後4週、8週、10週については、paraformaldehydeで灌流固定を行った。既報の方法(Nishiyama K,Murayama S et al : Regional and cellular expression of the Machado-Joseph disease gene in brains of normal and affected individuals. Ann Neurol 1996 ; 40 :776-781)でsignalの検出を試みたが、今までのところ有効なsignalが得られないため、さらに方法論を改善中である。 これとは独立に、Machado-Joseph病(MJD)症例の病理学的所見とCAG repeatの長さとの関係を複数例で検討した。これまでの蓄積例は6例。症例1:死亡時77歳男性、経過20年、MJD1遺伝子の正常allele及び延長alleleのCAG repeat数は23/64。症例2:死亡時78歳女性、経過33年、CAG repeat数は21/69。症例3:死亡時44歳男性、経過17年、CAG repeat数25/75。症例4:死亡時46歳男性、経過23年、CAG repeat数29/77。症例5:死亡時44歳男性、経過18年、CAG repeat数23/79。症例6:死亡時32歳男性、経過13年、CAG repeat数19/79。これらの症例に恒常的に認められる所見を、顕微鏡画像をコンピューターに直接取り込み、MO diskに保存し、半定量的に解析することを併用して抽出を試みた。本年においては、胸髄の腹側部の萎縮と前側索の有髄線維の減少、クラーク柱の神経細胞減少、橋底部尾側の萎縮と神経細胞の減少の所見を全例で確認した。また、抗aB-crystallin抗体を用いた免疫染色で、陽性に認識されるオリゴデンドログリアが、これらの部位で増加していることを確認した。次年度は、さらに症例数並びに関心部位を増やし検討する予定である。
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