研究概要 |
重症筋無力症(myasthenia gravis,MG)は,骨格筋アセチルコリン受容体(acetylcholine receptor,AChR)を標的とした自己免疫疾患である。MG患者のリンパ器官抗体産生能を疾患重症度、病期の観点から、調べた。 20名のMG患者を、治療前後に抗体産生能を評価した。このうち4名は血清抗アセチルコリン受容体抗体(AChRAb)が陰性であった。これらの、患者は全て免疫抑制剤投与前に、拡大胸腺摘出術を施行された。胸腺細胞、骨髄細胞、末梢血リンパ球を採取し、7日間培養した。培養上精中のAChRAbをTE671を使った免疫沈降法で、IgGをELISAにより測定した。 胸腺細胞、骨髄細胞、末梢血リンパ球のなかで、末梢血リンパ球がもっとも効率良くAChRAbならびにIgGを産生し、次に骨髄細胞、胸腺細胞の順であった。この傾向は発症後2ヶ月以内の病期の短い患者でも同様であった。末梢血リンパ球と骨髄細胞のAChRAbは血清AChRAb価と正の相関があった。胸腺摘出術は少なくとも、3ヶ月後までは末梢血リンパ球のAChRAbとIgG産生能に影響を与えることは無かった。末梢血リンパ球のAChRAb産生能は臨床症状と良く相関した。 病期の短い患者においても、末梢血リンパ球はもっとも効率の良いAChRAb産生器官であることが分かった。これをモニターすることは、MGの自己免疫活動性をとらえる有用な指標と思われた。
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