研究概要 |
本年度は痛覚を担う小径の後根神経節細胞に焦点を絞って、先ず正常ラットの細胞につき検討し、一部糖尿病ラットにおいても実施した。 1.後根神経節神経細胞の培養の確立 ペントバルビタール全身麻酔下に検体を採取し、poly-ornithineをカバースリップ上にコーティングすると細胞の接着がよいことが分かった。これらの工夫により細胞数と培養可能期間が改善した。 2.正常神経細胞を用いたwhole cell patch clamp法の検討 50μmのtetradotoxin(TTX)によりTTX感受性Na+チャネルを抑制し、痛覚に関与するTTX抵抗性Na+チャネルの検討を行った。この細胞は直径20〜27mmの小径細胞であった。 1)細胞外Na^+濃度の調整 神経細胞のNa^+channelの膜電位固定を検討するには、35mM NaCl,65mM TrisHCl,30mM TEAClの細胞外液が至適であり、電極抵抗0.5〜1.5MWが良かった。peak current 0.94_±0.12nA、current density 46±6nA/pF、time to peak3.3±0.2msec,time constant of decay8.2±0.6msecであった。 2)細胞内液のCa^<2+>濃度の調整 whole cell patch clamp法で細胞内情報伝達系の検討を行うための細胞内液Ca^<2+>濃度の検討を行い、2mM CaCl2,3mM EGTA(推定Ca^<2+>濃度200nM)においてもNa^+電流のrun downは認めず検討しうることが推測された。 3.Na^+電流の培養に伴う経時的変化 Na^+電流の変化を正常及び糖尿病ラット神経細胞で観察し、採取日、培養1、2日で検討し、比較は培養即日に行うのが適当であると考えられた。糖尿病群で正常群に比較してNa^+電流の振幅が大きかった。
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