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1997 年度 実績報告書

末梢神経障害におけるカリウムチャネル異常に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 09670662
研究種目

基盤研究(C)

研究機関鹿児島大学

研究代表者

有村 公良  鹿児島大学, 医学部, 助教授 (20159510)

研究分担者 中川 正法  鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (50198040)
亀山 正樹  鹿児島大学, 医学部, 教授 (60150059)
キーワード電位依存性kチャネル / 末梢神経障害 / パッチクランプ法 / Isaacs症候群 / 筋けいれん / ミオキミア / 自己抗体
研究概要

本年度は末梢神経障害における電位依存性Kチャネルに対する抗体の測定およびその障害機序についてpatch-clamp法を用いて行った。
1.電位依存性Kチャネル(VGKC)に対する自己抗体の測定。
Human neuroblastoma cell lineであるNB1細胞の培養液中に、患者血清から分離した免疫グロブリン分画5ul/mlを添加し3日間培養した後、whole cell clampでNB1細胞のK電流の抑制を指標として、抗体の有無を測定した。対象は臨床的に筋けいれんやミオキミアなどの末梢神経興奮性亢進症状を認めるIsaacs症候群4例、GBS7例、Idiopathic generalized myokymia(IGM)3例、MMN2例で、対照として末梢神経興奮性亢進症状を有さない疾患対象群(CIDP、HAM)4例を用いた。その結果、対照群血清に比較して、Isaacs症候群、GBS、IGMの血清でVGKCn有意の抑制が認められた。これらの疾患はいずれも自己免疫疾患の側面を有しており、末梢神経の興奮性亢進症状がVGKC抗体によるものと考えられた。この結果は抗VGKC抗体がIsaacs症候群にのみ特異的なものではなく、末梢神経興奮性亢進という病態と関連していることを示すもので、この様な疾患の治療という観点から重要であると考えられた。
2.電位依存性Kチャネル(VGKC)の障害機序についての検討。
今回のpatch-clampを用いた実験系で、VGKCが抑制されるのには少なくとも2日以上を要した。この事は以前PC12を用いた実験で、同様にVGKCが抑制されるのに3日以上要し、かつ潅流実験では抑制が見られなかった結果を再確認するものであった。今年度はさらにsinle channelレベルで検討を行ったが、その結果個々のチャネルのactivation、inactivationは血清添加前と後(whole cell clampではVGKCが抑制)で差を認めなかった。この事は抗VGKC抗体は直接チャネル機能に影響を及ぼすのではなく、チャネルの発現の抑制や崩壊の促進に関与していることが考えられた。この様な機序はLEMSなどの抗体依存性のチャネル障害を起こす疾患においても報告されており、免疫グロブリンにチャネル蛋白に対する架橋形成、崩壊の機序が想定されている。抗VGKC抗体も同様のVGKCに障害を及ぼしている可能性が考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] K.Arimura,O.watanabe I.Kitajima et al.: "Antibodies to potassium channels of PC12 in serum of Isaacs'syndrome : western blot and immunohistochemical stueids." Muscle & Nerve. 20. 299-305 (1997)

  • [文献書誌] 有村 公良、園田 至人、納 光弘: "イオンチャネルと末梢神経障害" BRAIN and NERVE. 49(12). 1115-1122 (1997)

  • [文献書誌] 有村 公良: "末梢神経起源のmuscle cramp,myokymiaの病態機序" 運動障害. 7(1). 45-52 (1997)

  • [文献書誌] 有村 公良: "イオンチャネル抗体" 臨床検査. 41(11). 1355-1356 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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