研究概要 |
実験にはラット58匹を使用した。脳梗塞は頚動脈カテーテル法で右中大脳動脈起始部を閉塞した。6時間後、24時間後に0.5テスラ-MRIを用いてT_2画像を撮影した。ラットは4群に分け生食またはNO合成酵素阻害薬であるNMMA 2mg/kg,10mg,30mgのいずれかを梗塞作成30分前、6時間後に投与した。梗塞作成6時間後のMRI信号強度は、病巣側皮質・線条体においてはNMMAのいずれの投与量においても対照群に比べ、有意な変化は認められなかった。健常側皮質ではNMMA 2mg,10mg投与群で有意な信号強度の低下が認められた。梗塞巣がほぼ完成する24時間後のMRIでは、病巣側皮質の信号強度はNMMA 2mg,10mg,30mgの投与量で有意な減少が認められた。NOは生理的条件下ではNMDA-receptorの活性化を阻止し細胞保護的な作用を発揮するが、脳虚血損傷において過剰産生されると、フリーラジカルとしての性格が強まり、逆に細胞障害性の作用を発現する。NOS-inhibitorはこのNOの過剰産生を抑制するという観点から、神経保護作用を有するものの、脳血流量を低下させるため大量投与は好ましくないと推論される。尚、初年度予定されていたNO-monitor,PO2-monitorによる観察は、Inter Medical社の開発担当者にも参加してもらい実験を行ったが、ノイズの混入が多くデータとして使用できないので、次年度の実験を先行させることとした。
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