研究課題/領域番号 |
09670675
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
大原 義朗 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50203914)
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研究分担者 |
村山 次哉 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (60159184)
小渕 正次 金沢医科大学, 医学部, 助手 (70257450)
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キーワード | タイラーウイルス / 中枢神経 / 外来遺伝子 / ベクター / マクロファージ |
研究概要 |
タイラーウイルスを外来遺伝子の中枢神経内導入のベクターとして利用するために、現在作製されている2種類の感染性cDNA(DA株、GDVII株)のうち、どちらの感染性cDNAを使用するのが適切かを検討した。ウイルスの持続感染細胞はマクロファージと考えれいるので、まずそれぞれの親ウイルスをマウス・マクロファージ細胞J-774に感染させ、それぞれの増殖曲線をみた。DA株では細胞内ウイルスは感染後12時間後、遊離ウイルスでは24時間後にピークを示し、明らかにJ-774細胞で増殖した。しかし、GDVII株ではその感染価ははっきりしたピークは示さず、細胞内ウイルスにおいても遊離ウイルスにおいても徐々に減少した。次にSDS-PAGEでウイルス蛋白の合成を検討したところ、DA株では経時的にウイルス蛋白の増加がみられたが、GDVII株ではほとんどウイルス蛋白の合成は認めれなかった。さらにRT-PCRでウイルスRNA量を経時的に検討したところ、DA株では経時的にRNAゲノムの増加がみられたが、GDVII株ではほとんどRNAゲノムの増加はみられなかった。すなわち、DA株は明らかに感染・増殖するものの、GDVII株はほとんど増殖しないことが分かった。吸着試験ではむしろGDVII株の方がJ-774細胞に対する吸着率がよいことから、上述した両株間の差異は、ウイルスが感染して細胞内に侵入した後、ウイルスRNAの複製の段階における差異と考えられる。外来遺伝子の中枢神経内で発現させるには、リコンビナントウイルスの感染・増殖が必須であることから、我々の目的にはGDVII株ではなく、DA株の感染性cDNAを使用するのが適切と思われた。
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