本年度は平成9年度に報告した末梢神経部分虚血モデルを使って、免疫抑制の効果につき検討した。 方法 1.末梢神経虚血モデルの作製:平成9年度の報告の方法を用いた。マイクロスフェアー量は100万個を用いた。 2.実験計画:以下の二群を設定し、末梢神経部分虚血モデル作製後4週間において、末梢神経血流量とBehavior Scoreを比較検討した。 (A)コントロール群;末梢神経部分虚血モデル作製後、通常の餌にて飼育した。 (B)免疫抑制群;末梢神経部分虚血モデル作製直後にFK506を20μg経動脈的に投与し通常の餌で飼育した。 3.末梢神経血流測定;平成9年度報告書に記載した方法を用いた。 4.Behavior Score:平成9年度報告書に記載した方法を用いた。 結果 末梢神経血流量は、コントロール群が7.7±1.0ml/min/100gであるのに対して免疫抑制群は13.6±2.8と有意に上昇していた(P<0.01)。Behavior Scoreはコントロール群が4.1±1.8であったのに対し、免疫抑制群は10.2±0.8と有意な改善を示していた(P<0.01)。 結論 FK506は脳虚血に対する保護作用がある事が認められているが、末梢神経虚血にも有効性があるものと思われた。
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