研究課題/領域番号 |
09670687
|
研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
辻野 精一 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第5部, 室長 (70280790)
|
研究分担者 |
菊池 建機 国立精神, 神経センター・神経研究所モデル動物開発部, 部長 (80005628)
|
キーワード | α-グルコシダーゼ欠損症 / アデノウイルスベクター / ウズラ / 遺伝子治療 / α-グルコシダーゼノックアウトマウス |
研究概要 |
α-glucosidase(acid maltase:AM)欠損症に対するアデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療の効果を動物モデルにおいて前年度に引き続き検討した。AM欠損(AMD)ウズラとAMノックアウトマウスを用いた。組み替えアデノウイルスは前年度に作製したAxCANAMを用いた。AxCANAMを筋注したAMDウズラの浅胸筋のWestern blotを行ったところ、プロセスされた活性型AMのバンドを確認した。またヒトAMD患者由来の培養線雑芽細胞にAxCANAMを感染させ抗AM抗体で蛍光染色すると細胞内でlysosomeと考えられる顆粒状の局在を示した。これらよりAxCANAMによって導入され発現したAMは生理的状態と同様にlysosome内に移動し、プロセスされ活性型となると考えられた。 開発されたばかりのAMノックアウトマウスの解析をまず行った。AMノックアウトマウスはAM遺伝子のエクソン6をネオマイシン耐性遺伝子で置き換えたもので、ホモ接合子は各臓器でAM酵素活性はほとんどゼロとなり生直後より骨格筋、心筋、脳などにglycogenが蓄積した。また骨格筋には空胞変性をきたした。しかしながらヒトでの乳児型ほど重症とならず、生殖も可能であった。生後7-8月齢になると、それまで動作が遅いという程度の表現型であったのが、明かな筋症状を呈するようになった。すなわち後肢の開脚、走行の不能、脊柱の後弯などが出現した。 このAMノックアウトマウスの皮膚より線維芽細胞を培養しAxCANAMを感染させたところmoiに応じて著明なAM活性の上昇を示した。またwestern blotで活性型AMのバンドを確認した。 今後このマウスを用いたin vivoでの効果を調べる。また筋注より全身的効果を及ぼす投与方法を開発することが課題となる。
|