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1997 年度 実績報告書

心筋細胞内Ca^<2+>輸送蛋白の遺伝子転写とシグナル伝達系の解析:心不全発症機構の解明と治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 09670692
研究種目

基盤研究(C)

研究機関群馬大学

研究代表者

新井 昌史  群馬大学, 医学部, 助手 (60270857)

キーワード心不全 / ドキソルビシン / カルシウム / 心筋小胞体 / 遺伝子発現 / 過酸化水素 / セラミド / 転写
研究概要

初年度は、Dox or ubicin(DOX)投与による心筋障害を心不全モデルとして用い、心不全時の心筋小胞体Ca2+-ATPase(SERCA2)の遺伝子転写とシグナル伝達系を解析した。すなわち、DOX投与時にみられるSERCA2遺伝子の発現低下の分子機構を明らかにするため、SERCA2遺伝子のDOX感受性領域を同定し、DOXによる転写制御機構を解析した。SERCA2遺伝子プロモーターの-1810〜+350bp領域をルシフェラーゼ遺伝子に接続後、Deletion Mutantを作製し、ラット培養心筋細胞に遺伝子導入した。SERCA2遺伝子上流の-284〜-72bpの領域はDOXにより転写活性がDOX非投与時の10%の著減し、この領域がDOX感受性配列と推測された。次に、DOX作用の細胞内情報伝達系を明らかにするため、PKC、PKA、TKに対する阻害剤や抗酸化剤(PDTC)の共存下でDOXを作用させた。SERCA2 mRNAの低下は、PDTCの前投与によりDOX非投与時の50%にまで回復した。SERCA2 mRNAの低下に酸化ストレスの関与が疑われたため、活性酸素を測定したところ、H2O2の増加がみられた。そこで、10μM H2O2を投与するとSERCA2 mRNA発現量が非投与群の40%に低下した。一方、酸化ストレスで誘導され、脂質second messenger分子として注目されているセラミドを測定すると、DOX投与群では約5倍の増加がみられた。心筋細胞に10μMC2-セラミドを添加するとSERCA2 mRNA発現量が50%に低下した。以上より、DOXによるSERCA2 mRNA発現低下には、H2O2を介した系とセラミドを介した系が関与し、SERCA2遺伝子の-284bpから-72bpまでの領域で転写が障害されることが原因になると考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 新井昌史: "Sarcoplasmic reticulum genes are selectively down-regulated in cardiomyopathy produced by doxorubicin in rabbits" Journal of Molecular Cellular Cardiology. (印刷中). (1998)

  • [文献書誌] 磯 達也: "Humoral factors produced by pressure overload enhance cardiac hypertmphy and natriuretic peptide expression" American Journal of Physiology. 273. 113-118 (1997)

  • [文献書誌] 新井昌史: "Doxorubicinは活性酸素やセラミドを介して心筋小胞体Ca^<2+>-ATPase遺伝子発現を抑制する" Japanese Circulation Journal. 62.Suppl I. 379-379 (1998)

  • [文献書誌] 新井昌史: "心筋小胞体Ca^<2+>-ATPase遺伝子はZnフィンガー型転写因子群により転写活性が亢進と減弱の双方向に調節されている" Japanese Circulation Journal. 62.Suppl I. 440-440 (1998)

  • [文献書誌] 新井昌史: "心不全の遺伝子治療" 臨床医. 23. 96-97 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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