老化モデルマウスとしてKlotho欠損マウスを用い、老化現象に伴う心筋虚血・再灌流時の侵襲に対する応答性の変化を検討した。 20分間虚血後60分間再灌流した野生型マウスとKlotho欠損マウスの心臓を分析した。 まず虚血・再灌流障害に対する防禦因子の差異を明らかにするため両群の再灌流領域心筋に抗-HSP抗体を一次抗体としたWestern blot分析を施行し、虚血により誘導されるストレス蛋白の新生を検討した。その結果、Klotho欠損マウスでは野生型マウスに比べ再灌流心筋におけるHSPの生成は明らかに低下していた。さらに、再灌流心筋のスーパーオキサイド・デイスムターゼ活性を比較したところ、野生型マウスに比べKlotho欠損マウスで低値の傾向を示した。 次に虚血・再灌流障害に対する攻撃因子の差異を明らかにするため、再灌流障害の病因である好中球浸潤量を示唆する心筋ミエロペルオキシダーゼ活性を測定した。心筋ミエロペルオキシダーゼ活性はKlotho欠損マウスで野生型マウスに比べ高値を示した。 以上の結果よりKlotho欠損マウスを老化モデルとして用いた検討から、老化現象に伴う心筋虚血・差異灌流侵襲時の負荷応答の特徴として、老化により防禦・攻撃両因子ともその強度が変化しており何れも虚血・再灌流障害を増悪させる方向に作用していることが示唆された。
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