研究概要 |
マウスを用いてヒト平滑筋ミオシンに対するモノクローナル抗体産生ハイプリドーマを作成し,ヒト平滑筋ミオシンに特異的に反応するモノクローナル抗体(抗SM-MAb)を精製してその有用性を発表した(Circulation V0l,94.1996)。この抗SM-MAbがラットの腸管平滑筋と特異的に反応することを免疫組織染色にて確認した。次に開腹下にラットの腸管膜動脈を結紮して、実験的に腸梗塞を作成した。この実験的腸梗塞ラットにl-125で標識した抗SM-MAbを投与し、4時間後と48時間後に屠殺して 各臓器を摘出し、組織1gあたりのl-125のカウントを比較しオートラジオグラフィによるイメージングを行った。腸管の梗塞部のカウントは正常部に比べ高値でオートラジオグラフィ上、梗塞部にl-125の強い集積を認める腸管壊死の画像の作成に成功し,第60回日本循環器学会総会で報告した。次にシュワルツ法を用いて、フラグメント化した抗SM-MAbをTc-99mで標識し、実験的腸梗塞ラットに投与して、1時間後と6時間後のin vivoラットにシンチカメラでstatic収集を行い、同時にピンホールシンチカメラでSPECT像の撮像を行った。ついで体内動態解析、および腸管のオートラジオグラフィを施行した。腸管梗塞部のカウントは正常部に比べ6時間後に高値で、オートラジオグラフィ上、梗塞部にTc-99mの強い集積を認めた。シンチグラフィでは腸管壊死部に一致したTc-99mの集積像をin vivoラットで画像化することに成功し、SPECT像でより明瞭に障害部が同定できた。また実験的大動脈解離ラットにも同様の方法でシンチグラフィを行い、大動脈解離部に一致したより明瞭なTc-99mの集積像をシンチグラフィとSPECT上で画像化することに成功した。以上の成果は、第60回日本循環器学会総会,第13回国際脈管学会,第45回日本心臓病学会(Young Investigator's Award優秀賞)で発表し,Journal of Cardiology(V01.31 1998)に掲載した。現在、臨床応用にむかい、群馬大学倫理委員会に臨床試験の実施を申請中である。
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