研究概要 |
今回我々は、本態性高血圧症と白衣高血圧症の血圧バイフィードバック療法(以下BF療法)による降圧効果を検討した。罹病期間が3ヶ月以内で未治療の本態性高血圧患者16名白衣高血圧患者11名に対し(いずれも女性のみ)、週1回のベースで計4回BF療法を外来で行った。治療は、指尖から計測した1拍毎の血圧をパーソナルコンピューターで処理して、患者にリアルタイムの情報を視覚的に呈示するものであり、3分の降圧トレーニングを1分の休息を入れながら連続5トライアル行った。BF療法の結果、本態性高血圧群は10±14^*/6±5^<**>(160±16/96±8→150±16/90±9)、白衣高血圧群は22±14^<**>/11±5 ^<**>(165±14/97±5→143±14/86±4)降圧した(^*p<0.05,^<**>p<0.01)。その降圧量は収縮期、拡張期血圧とも白衣高血圧群の方が本態性高血圧群より有意に大きかった。BF治療の前後で比較すると、暗算ストレステストによる昇圧反応は本態性高血圧群で5±6^<**>/2±5(+21±7/+13±5→+16±6/+11±5)、白衣高血圧群で10±15^*/8±13(+38±17/+26±16→+28±17/+19±12)抑制された。治療期間を通じてBF治療中の心拍数ならびに交感神経活動の指標である心拍変動の低周波成分・高周波成分比(LH/HF)が、白衣高血圧群の方が本態性高血圧群より有意に大きかった(分散分析、p<0.05)。以上の結果から、BF療法は高血圧症のストレスによる昇圧反応の抑制に有効であり、高血圧症の初期、特に白衣高血圧症によい適応があることが示唆された。
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