研究課題/領域番号 |
09670698
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長野 宏一朗 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30282627)
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研究分担者 |
吉栖 正生 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20282626)
鳥羽 研二 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (60155546)
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キーワード | アポトーシス / エストロゲン / 血管内皮 / フリーラジカル / 過酸化水素 / 動脈硬化 / 遺伝子産物 |
研究概要 |
血管内皮細胞は生体内のフリーラジカルにより障害を受け、動脈硬化の初期病変形成に深く関与している。一方、エストロゲンは血管壁への直接作用により抗動脈硬化作用を有する。本研究は低濃度過酸化水素で血管内皮細胞にアポトーシスを誘導し、これに対するエストロゲンの効果を検討している。ウシ頚動脈培養血管内皮細胞を過酸化水素(0.1mM)に1時間暴露すると、1.5%アガロースゲル電気泳動によるDNAラダーパターンで核の断片化、HOECHST 33342による蛍光核染色ではクロマチンの凝縮や核の断片化、MTT assayによるcell viabilityの算定などによりアポトーシスに特有な生化学的、形態学的変化が認められた。これら過酸化水素による血管内皮細胞のアポトーシスは、エストロゲン(17β-estradiol、10^<-8>M)で前処置(24時間)することにより濃度依存的に51.9%まで有意に抑制された(p<0.01)。アポトーシス関連遺伝子産物であるBcl-2、Bax、P53蛋白発現量の変動についてWestern blot法にて検討したところ、Bcl-2蛋白、P53蛋白は過酸化水素暴露の有無、エストロゲン前処置の有無に関わらずその発現量に変化は認められなかったが、Bax蛋白の発現量はエストロゲン前処置により低下した。エストロゲンは低濃度過酸化水素による血管内皮細胞のアポトーシスを濃度依存性に抑制することで、内皮保護作用を有すると考えられ、この機序にエストロゲンによるBax蛋白発現量の低下が関与していることが示唆された。
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