研究課題/領域番号 |
09670703
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上原 誉志夫 東京大学, 保健管理センター, 講師 (40184965)
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研究分担者 |
後藤 敦郎 東京大学, 医学部, 助教授 (00150277)
名越 洋 東京大学, 医学部, 医員
申 偉秀 東京大学, 保健管理センター, 助手 (10211971)
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キーワード | プロスタグランジンD2 / サイトカイン / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / 細胞内受容体 / インターロイキン / エンドトキシンショック / 動脈硬化 |
研究概要 |
我々は血管病変の進展退縮における,プロスタグランジンD_2(PGD_2)が誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)による一酸化窒素(NO)産生に及ぼす影響について検討した。インターロイキン-2(IL-2)や腫瘍壊死因子(TNF-β)などのサイトカイン刺激により培養血管平滑筋細胞ではiNOS酵素の誘導がみられ、一酸化窒素の産生が増大することをみいだした。一方、外因性PGD2は10^<-6>-10^<-4>Mの範囲内で用量依存的に、この一酸化窒素産生を抑制することをみいだし、それは、外因性PGD_2がサイトカイン刺激による血管平滑筋細胞iNOSmRNAの発現を転写レベルで特異的に阻害し、iNOS酵素量を減少させて一酸化窒素産生を強力に抑制することを明らかにし、報告した(1997年日本循環器学会総会で発表し、Circulation Research誌に掲載予定)。これらの作用は、in vitroのみならずin vivo系においても観察され、iNOS過剰発現によると考えられるエンドトキシンショック時の血管拡張反応がPGD_2の前処置で軽減されることもみいだしている(1998年度日本薬理学会総会発表)。これらの成績は、外因性PGD_2が心臓血管障害の進展に促進的であるサイトカイン・一酸化窒素系を遮断し、心臓血管障害に抑制的に働く可能性を強く示唆している。PGD_2系は他のPGsと異なり細胞内受容体を介して細胞機能に影響を与える可能性が示唆される。PGD_2は体内では不安定であることから、細胞での内因性PGD_2の代謝を促進することはより効率に細胞形質に影響を与え、その保護効果を明らかにさせるのに有効と考えられた。
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