研究成果 (1) 心臓内視鏡を用いた直視下心房中隔穿刺法に関する実験的研究:透視下で実施するブロッケンブロー法のデメリットを減らすために、先端にバルーンの付いた心臓内視鏡を用い右房から左房へ心房中隔経由で到達する中隔穿刺が、直視下に可能か否か実験的に検討した。結果的には、直視下ブロッケンブローは困難であった。内視鏡を経静脈的に右房に進ませた時、心房中隔の卵円窩の観察は可能であったが、穿刺のために針をすすめると標的部位から移動して、標的から遠ざかるという問題が解消不能であった。 (2) 心臓内視鏡を用いた左房壁レーザー焼灼法に関する実験的研究:計画では直視下ブロッケンブローアプローチ後に、左房壁にNd:YAGレーザーを照射予定であった。そこで、左側開胸後、左心耳から巾着縫合下に内視鏡を左房へ挿入した。肺静脈開口部から僧帽弁輪部へと内視鏡バルーン越しにNd:YAGレーザーを照射し、左房壁の線上焼灼を試み成功している。現在、実験データ解析、発表準備段階である。 関連領域での研究成果 (1) 心臓内視鏡を用いた冠状静脈開口部への直視下電極カテーテル挿入術:冠状静脈へは、X線透視下に電極カテーテルを留置するが、われわれは透視を使わず(放射線障害がない!)内視鏡を用い直視下に電極カテーテルを冠状静脈洞開口部へとガイド可能であること、および拍動心において重要な構造物である冠状静脈開口部周辺の観察が可能であることを論文発表した。(研究発表1参照) (2) 心臓内視鏡を用いた右房中隔レーザー焼灼法に関する実験的研究:右房中隔への内視鏡下Nd:YAGレーザー照射実験を行った。この際、冠状静脈洞開口部の上縁、下縁の別々の2箇所にそれぞれ三尖弁輪部まで直視下に線状焼灼しその電気生理学的効果を判定した。上縁焼灼では、完全房室ブロックが、下縁焼灼では遅伝導路焼灼の効果が得られたことより、直視下の解剖学的ガイドに基付くアブレーションが可能であると結論した。第19回北米心臓ペーシング電気生理学回年次大会(平成10年5月9日)にて発表。
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