研究概要 |
1.外因性高インスリン血症ラットの検討 長期間(約1年)の外因性高インスリン血症により、大動脈に病理学的な動脈硬化病変が生じる(Sato Y et al, Diabectes 38:91, 1989)。そこで、我々は3ヶ月間の投与モデルでの検討をした結果、内膜障害がない動脈硬化の初期変化であるトリグリセリド(TG)、コレステロールエステルの沈着がみられ、飽和脂肪酸の上昇と、多価不飽和脂肪酸の減少が観察されている他、血漿LDLにはむしろアラキドン酸の増加とTGの含有量の増加がみられた。 2.内因性インスリン血症、インスリン抵抗性ラットモデルでの検討 SDラットにラ-ドを含む高フルクトース食を2週与えるとインスリン抵抗性ラットができる。この動物モデルは高インスリン血症、高TG血症、軽度の高血圧症もみられ、ヒトのいわゆるMctabolic Sydromc X (Reaven, Diabetes37:1595, 1998)に近い状態が得られた。短期間(2週間)のモデルなので血管のTGの脂肪酸の変化はみられるが、コレステロールエステルやTGの沈着はみられなかった。このモデルはヒトのインスリン抵抗性症候群のモデルになると考えられる。しかし、ラ-ドを除いて他の組成が同じの高フルクトースでは、インスリン抵抗性は生ぜず、ラ-ドに含まれている脂肪が重要な役目をしていることが分かった。このモデルに抗高脂質血症薬のプロブコールを投与したが高インスリン状態も高血圧状態も改善しなかった。
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