研究概要 |
General Electric Medical Systems社製磁気共鳴装置Signa1.5T内で仰臥位の被検者の左前胸部に,受信専用で形状可変型のSigna 1.5T general purpose flex coilを装着し,ヒト心筋のプロトン(^1H)核磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)を行った。被検者には十分な説明を行った後に同意を得た。まずbody coilにて,心電図同期でエコー時間(TE)14msecのmulti-phase,multi-sliceのスピンエコー像を撮影し,その像の上でプロトンMRSの信号収集領域を設定した。その部についてbody coilで励起しgeneral purpose flex coilで受信するstimulated echo acquisition mode(STEAM)法により,TEは12msec,パルス繰り返し時間(TR)は1500msecとして,心筋プロトンMRSを行った。はじめに水信号抑制を行わずに積算回数16回で内部標準用の水信号を収集し,その後水信号抑制下に積算回数128回で信号を収集した。水信号の化学シフトを4.75ppmとし,これを標準にして4.40ppmから-0.60ppmのspectral windowについて解析した。健常者について上記の条件で測定したところ,信号収集領域を3cm×3cm×3cm以上とすると十分なS-N比(signal-to-noise ratio)の信号が得られた。脂肪(中性脂肪)の化学シフトは1.2〜1.3ppm,クレアチンの化学シフトは2.9〜3.1ppmであった。心室中隔の陳旧性心筋梗塞例で同部から信号を収集したところ,脂肪のピークは認められたが,クレアチンのピークはノイズのレベルに近く,心筋内のクレアチン含量が定量できる可能性が示唆された。(三ツ浪)
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