1) 病態の整理 1-a) QT延長症候群(LQT)患者における24時間心電図中のQT間隔とRR間隔の関係 24時間ホルター心電図記録からQT間隔とRR間隔の動的な関係を解析した。LQT患者全体としては、健常対象者に比較してRR間隔に対するQT間隔の回帰直線の傾きが急峻であった。この急峻となった回帰直線の傾きは、βブロッカー治療によって変化しなかった(Annals of Noninvasive Electrocardiology.1997;2:40-46)。 1-b) LQT患者における局所壁運動のdispersion LQTにおいては、心電図上QT dispersionを示すが、局所の壁運動もdispersionを示すのではないかと考え、心エコーを用いて検討を行った。LQT患者において左室短軸像を得て、前中隔、後中隔、前壁、側壁、後壁の収縮期における壁の収縮時間をそれぞれ算出し、その差をdispersionとして求めた。結果は正常人に比べ壁運動のdispersionは大きく、更に壁運動のdispersionと心電図上のQT dispersionは相関した(Heart.1998;80:245-250)。 1-c) 二次性LQTの原因の調査 二次性LQTの原因を全国22施設、81名の患者において調査した。薬剤性が46名と最も多く、続いて徐脈性不整脈18名、電解質異常8名、中枢神経障害3名その他8名(重複症例あり)であった。 2) 遺伝子診断 二次性LQTの遺伝的再分類とその意義について報告し、遺伝子診断の有用性を報告した(呼吸と循環1998;46:383-389)。 先天性LQT患者において、PCR後シークエンスを行い従来報告されている遺伝子の変異の有無を調べたが、現在のところ変異は認めていない。今後従来報告されていないところにおいても検索をすすめていく予定である。
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