高レムナントリポ蛋白(RLP)血症は動脈硬化の危険因子とされ、最近、血管内皮依存性拡張反応(EDR)の低下を伴うことが示された。酸化ストレスは動脈硬化に伴う内皮障害に重要な役割を果たしている。そこで、抗酸化剤であるビタミンE(VE)内服投与が、高RLP血症患者におけるEDR低下に対しどのような効果をもたらすか検討した。【方法】当科に入院した連続200名の早朝空腹時血清RLP値の分布をもとにRLP値が75パーセンタイル以上および25パーセンタイル以下である場合をそれぞれ高RLP血症および低RLP血症とした。高RLP血症患者40名および低RLP血症患者30名をそれぞれVE投与(300mg/day)群及びプラセボ(PL)投与群の2群に無作為に割り付け、4週間経口投与した。投薬加療前後に、上腕動脈におけるreactive hyperemia時のEDRを高周波超音波断層装置により計測した。同時に脂質過酸化の指標であるthiobarbituric acid reactive substances(TBARS)の血漿値を計測した。【結果】投薬前においては高RLP血症患者のEDRは低RLP血症患者に比べて有意に低下していた。高RLP血症患者のEDRはVE投与後に有意に改善したがPL投与では変化を認めなかった。高RLP血症患者のTBARSはVE投与後に有意に低下したがPLでは変化を認めなかった。低RLP血症患者のEDRはVE投与およびPL投与のどちらでも有意な変化を認めなかった。【総括】VEは高RLP血症患者のTBARSを低下させるとともに内皮障害を改善させた。高RLP血症患者の内皮障害には酸化ストレスが関与している可能性がある。攣縮を有する冠動脈のトーヌスに及ぼす還元型グルタチオンの効果
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