研究課題/領域番号 |
09670733
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
矢尾板 裕幸 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50264544)
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研究分担者 |
前原 和平 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (90181817)
丸山 幸夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90004712)
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キーワード | 心筋虚血 / リモデリング / 冠狭窄 / 好中球 / 血管内皮 |
研究概要 |
1.現在の進行状況 本年度はまず、ラットにおける冠動脈狭窄モデルの開発に従事した。その結果、1)我々の冠狭窄ラットモデルの冠動脈横断切片病理標本における冠狭窄度は67±13%であった。虚血心筋領域では一部線維置換は存在するものの、心筋細胞は保存されていた。2)心エコー図によると、冠狭窄により虚血となる左室前壁の心筋領域では壁運動の低下が見られるも、冠結紮による梗塞群のような壁厚の高度減少は認めなかった。3)心エコー図により観察すると、明らかに非虚血対照群と違い、経時的に左室拡張末期容積及び収縮末期容積がともに増大し、左室駆出率は低下していった。しかし、心機能の変化は冠結紮による梗塞群に比較すると軽度だった。その後、このモデルにおける心機能障害は時間とともに進行することが判明し、、現在6か月間までの長期観察も行っている。次の段階として、このモデルの病態において好中球機能の及ぼす影響を検討した。しかし、好中球機能を制御する目的で当初用いた好中球膜sialyl Lewis^X oligosaccharide analogはその長期的有効性がごく最近の文献上否定され、一方、次に用いた抗好中球抗体ではその好中球低下作用が長期持続せず、我々の長期飼育モデルには適当でないことが判明した。そこで、β遮断薬ではあるが抗酸化作用、好中球機能抑制作用を有するカルベジロールを経静脈的に持続投与したところ、対照の冠狭窄群に比して左室収縮末期容積の低下及び左室駆出率の改善が認められた(第一回日本心不全学会、1997)。さらに現在、好中球からのフリーラジカル産生抑制薬であるOPC-6535を持続投与してその長期効果を検討しているところである。 2.今後の実施計画 平成9年度における結果を踏まえ、好中球機能抑制によって心機能障害進行が抑制される機序の解明及び再灌流の時期が心機能に及ぼす影響の検討を、当初の計画のようにリモデリングの形態の面から検討する。最近当施設において生物酸素モニターが導入されたので、これを用いてさらには冠血管内皮機能及び心筋代謝の面からも検討する予定である。
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