研究概要 |
高血圧における血管反応性の亢進に神経終末から遊離するATPと血管内皮および平滑筋機能との相互関連がどのように関与するかを明らかにするため、(1)電気刺激により末梢交感神経終末から遊離されたATPが血管平滑筋および内皮にとの様に影響するか、(2)さらに交感神経自身への影響はどうか、(3)培養平滑筋細胞、内皮細胞を用いATP受容体agonist投与による細胞内Ca^<++>濃度、一酸化窒素の変化について、(4)遺伝的高血圧モデルにおけるこれらの変化、(5)内因性adenosinによる血管機能への影響、高血圧病態での変化についても明らかにしたい。初年度は、ラット腸間膜動脈潅流標本を用い、電気刺激により末梢交感神経終末から遊離されたATPが血管平滑筋および内皮に作用するかを、昇圧を来さない程度の電気刺激あるいは刺激後血管反応性が基線に戻った後、外因性ノルエピネフリン(NE)による血管反応性への影響をみた。この結果、外因性NEによる血管反応性は低頻度の電気刺激により有意に上昇した。さらに、その程度は、電気刺激頻度に比例し、刺激からの時間と反比例し、電気刺激後5分以上の経過ではほぼ消失した。(2)内皮をCHAPSにより化学的に障害しても同反応には影響を与えなかった。(3)adenosinは血管反応性に影響する濃度で電気刺激によりNE遊離を抑制した。(4)予備実験においてP_<2x> agonistであるα,β-methylene-ATPの前投与によっては、電気刺激によるNE昇圧反応への影響を抑制出来なかった。本年度は、さらに、遺伝性高血圧ラットを用い、本研究を進めるとともにP_2 antagonistであるsuraminによりこれらの反応が抑制出来るかをみる。また、ラット平滑筋細胞、内皮細胞にCa指示薬であるfura2をloadし、上記のATP受容体の選択的agonist投与による細胞内Ca^<++>濃度の変化を観察する。さらに、培養細胞中のcGMP、培養液液中のNOは既存の方法に従い、蛍光法で測定し、NOとの関連をみたい。
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