学内の倫理委員会での審査に時間を要し、研究開始が遅れた。現在、LDLアフェレ-シス施行症例は9例で、3ケ月後の再冠動脈造影で狭窄の有無を確認できたのは4例である。3例は50%未満の狭窄で、1例のみ50%狭窄を呈したが、Late Lossは、少なく、LDLアフェレ-シスはPTCA後の再狭窄予防効果を示唆しうる。1回目のLDLアフェレ-シス(PTCA前日)によりリポプロテイン(a)[Lp(a)]は50±29mg/dlから15±7mg/dlへ、総コレステロール(TC)は217±39mg/dlから90±20mg/dlへ、中性脂肪(TG)は186±82mg/dlから84±61mg/dlへ、LDLコレステロールは、145±29mg/dlから43±21mg/dlへと著明に低下したが、HDL-コレステロール(HDL-C)は35±7mg/dlから31±7mg/dlとわずかに低下したのみであった。2回目のLDLアフェレ-シス(PTCA2日後)によりLp(a)は22±11mg/dlから8±4mg/dlへ、TCは139±30mg/dlから65±12mg/dlへ、TGは170±58mg/dlから68±65mg/dlへ、LDLコレステロールは、70±23mg/dlから19±14mg/dlへと、著明に低下したが、HDL-Cは、35±8mg/dlから32±7mg/dlとわずかに低下した。尚、LDLアフェレ-シスの再狭窄予防効果のメカニズムを追求するため、凝固線溶系の因子をLDLアフェレ-シス前後で測定し検討した。凝固系のフィブリノペプタイドAやトロンビン・アンチトロンビンIII複合体は、LDLアフェレ-シス前後に有意な変化は認められず、線溶系は、プラスミノーゲン活性値、t-PA・PAI-1複合体はLDLアフェレ-シス後、低下傾向を示したが、凝固系の低下ないし線溶系の亢進している証拠は今の所、得られていない。 今後、症例を増やす事と、高Lp(a)血症でLDLアフェレ-シスを施行せず、PTCAを受けたコントロール群との比較が必要と考えられる。
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