高Lp(a)血症を有する症例で、LDLアフェレーシス群11例とコントロール群6例において、PTCA後慢性期に冠動脈造影を施行し再狭窄を検討し得た。 1. 脂質プロフィルとLDLアフェレーシス 1回目のLDLアフェレーシスにより総コレステロール(TC)は216.09±35.76mg/dlから91.27±16.79mg/dlへと58.6%低下し、LP(a)は576.36±313.28mg/Lから172.73±80.14mg/Lへ69.2%低下した。PTCA2日後にはそれぞれ46.1%、47.9%上昇したが、2回目のLDLアフェレーシス後には、TCは63.36±11.59mg/dlへと、LP(a)は85.45±45.25mg/Lへとさらに低下し最初の値に比し、総コレステロールは71.2%、LP(a)は84.7%と著明に低下を示した。 2. 凝固線溶系とLDLアフェレーシス 2回のLDLアフェレーシスにより血清フィブリノペプタイドA(FPA)は10.70±19.45ng/mlから1.97±2.15ng/mlへと、トロンビン・アンチトロンビンIII複合体(TAT)は13.02±22.37ng/mlから5.31±6.73ng/mlへと低下を認めた。また、t-PA・PAI-1複合体(PAPAI complex)は16.40±5.84ng/mlから18.06±4.64ng/mlへ、α_2プラスミンインヒビター・プラスミン複合体(PPI complex)は1.12±1.01μg/mlから0.56±0.27μg/mlへ、D・Dダイマーは、135.45±117.71から149.18±213.26ng/mlへとわずかな変化を示したが、有意な増加は認めなかった。 3. PTCAとLDLアフェレーシス PTCAは全例で成功した。再狭窄率は症例別でみると、LDLアフェレーシス群は11症例中3例(27.3%)と低く、コントロール群は6例中5例(83.3%)と高かった。病変枝数別でみると、LDLアフェレーシス群は15病変中4病変(26.7%)と低く、コントロール群は12病変中5病変(41.7%)と高かった。 以上、高Lp(a)血症症例にLDLアフェレーシスを施行することにより、Lp(a)の低下とPTCA後の慢性期再狭窄率の低下を証明した。LDLアフェレーシスにより線溶能亢進は認めなかったものの、凝固能低下を認めた。この再狭窄率低下のメカニズムは、Lp(a)の低下により凝固能低下を認めた事と関係している可能性が示唆された。
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