研究概要 |
単離心室筋細胞による虚血再灌流障害のモデルを作成した。すなわち、気密性の高い容器で、無グルコースTyrode液を窒素ガスでbubblingし、無酸素溶液を調整し、倒立型顕微鏡のステージ上のチャンバー内に心筋細胞を入れ、表面灌流を行い、その表面に窒素ガスを通気することにより、大気からの酸素の逆拡散を防止した。こうして、無酸素溶液により無酸素灌流を15分間行ったのち、大気と平衡させたグルコースを含んだTyrode液を40分間灌流し、再酸素化した。ミトコンドリアのK_<ATP> channel openerとして、30μmM diazoxideを無酸素とする5分前から無酸素終了時まで灌流した。Rod cellを生存細胞の判定基準として、実験毎に無酸素灌流を開始する前の生存細胞数を100%とすると、実験終了時の再酸素化40分では、対照群22.0±13.3%、diazoxide(D)群59.3±10.6%(n=6,8 ; p<0.05)とD群で有意に生存率が高かった。BCECFにより測定した細胞内pHは、虚血前後とも2群間に有意差はなかった。観察対象とした初期rod cell、対照群 84 cells、D群123 cellsについて、再酸素化40分のときの形態は、対照群では、round cell 62.3%、rigor contracture 10.7%D群では、round cell 20.3%、rigor contracture19.5%と対照群では死細胞は、多くがround cellであるのに対し、D群では、rigor contractureの比率が高かった。、ミトコンドリアのK_<ATP> cannel openerは、ラットの単離心筋細胞の無酸素・再酸素化障害を抑制したが、これは、Ca overloadを抑制し、round cellになりにくくする可能性が考えられた。
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