研究概要 |
動脈内皮下の粥状硬化巣にProteoglycans(PTGs)-low density lipoprotein(LDL)複合体が多く存在することが組織学的に知られており、lioprotein の沈着部位となっている可能性が考えられる。また、PTGs-LDL複合体はカルシウム等の二価イオンと結合することにより、非可溶性の構造物を形成すると考えられている。そこで、in votroの系を用いてPTGs-LDL複合体の測定にはChristner J.E.らの開発した96穴multi-well plate を用いた個相法を用いた。この際very low density lipoprotein(VLDL), LDL, high density lipoprotein(HDL), lipoprotein(a)(Lp(a))を0〜100μg/mlになるように反応液に添加しwellコートしたLDLと競合させた。二価イオンの及ぼす影響の測定にはlipoproteinを添加せず、反応液CaCl_2, MgCl_2, MnCl_2が0〜5mMになるように調整して、wellコートしたLDLとproteoglycan monomerを反応させた。VLDL, LDL,Lp(a)は 0〜100μg/mlで濃度依存性にPTGs-LDL conplexを阻害した。阻害の程度に明らかな有意差は認めなかった。CaCl_2, MgC_2, MnCl_2は0〜5mMで濃度依存性にPTGs-LDL conplexを阻害した。阻害の程度に明らかな有意差は認めなかった。CaCl_2, MgCl_2, MnCl_2は0〜5mMで濃度依存性にPTGs-LDL conplexを形成し5mMでほぼplateauに達した。形成の程度はMnCl_2>CaCl_2>MgCl_2の順で有意義に高かった。上記の内容は第38回日本脈管学会並びに第17回国際高血圧学会で報告した。このPTGs=LDL複合体がCalciumと結合してハイドロキシアパタイトを形成するにはカルシウム結合タンパクが必要である。カルシウム結合蛋白のひとつであるosteopontinの発現を見た。培養血管平滑筋細胞では血管作動物質のうちangiotenshin ll, vasopressinはosteopontinの蛋白発現を濃度依存性に亢進させた。この作用はangiotenshin ll受容体遮断薬で阻害された。マクロファージ細胞にLDLまたは酸化LDLを負荷したがosteopontin,osteocalcinnoの蛋白質発現には有意な影響を及ぼさなかった。
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