弁膜症による心不全例において手術前後の下肢の阻血後反応性充血の推移と運動耐容能の変化との関連性や血管拡張性神経体液性因子(B型ナトリウム利尿ペプチドなど)による上肢の血管拡張機能についての研究をおこなった。それぞれ論文にまとめ報告した(研究発表欄参考)。 心不全患者の骨格筋生検はインホームドコンセントがなかなかえられないのが現状であり、さらに対象例と密接なコンタクトをもち、受諾が選られるように努力している。 共同研究者の瀬川らは、ヒト組織を対象として、アポトーシス実行遺伝子や腫瘍壊死因子αの定量化を進めている。その一部は、1998年1月におこなわれた循環器委託研究費(9指-6)班会議(厚生省)にて発表した。 また、組織内のコラーゲン代謝異常を血中生化学指標であるI型プロコラーゲンC末端プロペプチド濃度の推移から検討できないかどうかを研究中である。その結果、大動脈瘤などの例では血中I型プロコラーゲンC末端プロペプチド濃度は明らかに高値であり、組織内のコラーゲン代謝を反映しているものと推定している(日本循環器学会発表予定、1998年3月)。
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