肥満を伴う高血圧患者の食事による体重減少は食塩制限とカロリー制限を伴うので両因子が降圧に関与しているが明らかとなっている。。しかしながら、カロリー制限による降圧効果と減塩による降圧効果の相互関係については、高血圧治療上重要であるにもかかわらず、ほとんど報告がない。そこで著者は、肥満を伴う高血圧患者を対象として、体重減少による降圧効果への食塩摂取料の影響を明らかにする目的で本研究を行った。対象はBMlが25〜31kg/m^2を有する10名の本態性高血圧患者であった。入院諸検査後、体重を維持するカロリー量として、低食塩期(2グラム/日)と高食塩期(15グラム/日)を1週間ずつ設定した。その後1日摂取量450キロカロリーの低カロリー食を2-3週間続けて減量を行った。減量後、減量後と同様に低食塩期と高食塩期を設定した。血圧測定は携帯型血圧計によって各期毎に測定した。低カロリー食によって体重は72.1±11.3kgから6.0±2.8kg低下した。減量前後の低食塩期での比較をすると、平均血圧は103mmHgから98mmHgへ有意に低下した。一方、減量前後の高食塩期での平均血圧はいずれも107mmHgであり、有意な変化はなかった。減量前と減量後での血圧の食塩感受性はそれぞれ4.4±5.4mmHgと9.2±4.9mmHgであり、有意な増大がみられた。肥満を伴う本態性高血圧患者での減量は降圧療法として有効であるが、高食塩摂取下ではこの効果が減少する。肥満性高血圧患者の食事療法は、減量と減塩を併せて行うことが重要である。今後、食塩感受性とカロリー感受性とのメカニズムを検討する必要がある。
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