研究課題/領域番号 |
09670746
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
苅尾 七臣 自治医科大学, 医学部, 助手 (60285773)
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研究分担者 |
柳川 洋 自治医科大学, 医学部, 教授 (30077169)
中村 好一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (50217915)
島田 和幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (90145128)
三橋 武司 自治医科大学, 医学部, 講師 (60275675)
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キーワード | 高血圧 / 高齢者 / 日内変動 / 臓器障害 / 白衣高血圧 / 脳血管障害 / 無症候性脳梗塞 / Extreme-Dipper |
研究概要 |
高血圧における悩卒中と血圧日内変動の関連を検討するため、高血圧外来患者を対象として、脳卒中の前病態である無症候性脳梗塞を評価し、24時間血圧測定を実施した。WHOステージIもしくはIIで、検査前少なくとも2週間降圧薬を服用していない状態で24時間血圧測定を実施し得た高血圧患者は821名(平均年齢72歳、女性315名と男性506名)であった。平均41ヶ月(1-68ヶ月)の追跡を行い、811名(99%)の心血管系予後を確認した。このうち、24時間血圧レベル130/80mmHg未満の白衣高血圧は236(29%)名であった。残りの持続性高血圧患者575名のうち夜間血圧下降度により97名(17%)のextreme-dippers(夜間血圧下降20%以上)、230名(40%)のdippers(夜間血圧下降10-20%)、185名(32%)のnon-dippers(夜間血圧下降0%-10%)、63名(11%)のreverse-dippers(夜間血圧下降0%未満)に分けた。一過性脳虚血発作を含めた脳卒中の発生頻度(/1000person・years)は白衣高血圧患者13.l、持続性高血圧患者32.8であった。持続性高血圧患者のうち、reverse-dippersは74.8、extreme-dippersは39.7、non-dippersは28.1、dippersは22.1であった。以上の結果は、これまで我々が、新しく提唱している夜間血圧の著名な下降を示すextreme-dippersも脳卒中のリスクとなる血圧日内変動変動異常であることを追跡調査でも確認し得た。また、白衣高血圧の予後決定には、無症候性脳梗塞有無が決定的規定因子であることも確認した。本研究により高血圧患者において、夜間血圧の上昇するタイプ(reverse-dippers)と逆に夜間血圧低下の著しい夕イプ(extremee-dippers)が脳血管障害の危険の高いハイリスクグループであることが明らかとなった。今後、これらのハイリスクグループの病態と臓器障害の生じるメカニズムを明らかにし、脳血管障害をいかに効率的に予防するかを検討してゆく予定である。
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