研究概要 |
日本白色種家兎にβ1アドレナリン受容体第2細胞外ループに相当するペプチドをアジュバンドとともに6ヶ月間投与し、自己免疫性心筋症モデルを作成した。同モデルでは心エコー図所見および病理学的検討で左室肥大を呈することが明らかとなった。血行動態所見では左室拡張末期圧の上昇を認めた。βアドレナリン受容体のsaturation assayでは最大結合部位数は対照家兎に比べて低下傾向を示したが、解離定数に差はなかった。イソプロテレノールを用いたcompetitionassayで、高親和性結合部位は減少し、低親和性結合部位が優位となった。解離定数は高値であり、GTPシフトは消失していた。このことからβアドレナリン受容体はアンカップリングの状態にあると考えられた。アデニル・シクラーゼ活性はisoproterenol,NaF,Gpp(NH)p,forsko1in,Mn^<2+>刺激下でいずれも低値であり、βアドレナリン受容体・Gタンパク質のアンカップリングに加えてアデニル・シクラーゼの触媒部分の障害が示唆された。ウエスタンプロット解析ではβアドレナリン受容体燐酸化酵素タイプ5の発現が増加していた。今後アデニル・シクラーゼの夕イプ6mRNAの発現や心肥大のメカニズムについて検討予定である。 虚血性心不全モデルの作成 ラットにおいて左冠動脈結紮によって心筋梗塞を作成し、リモデリングによる心不全への進行程を観察中である。本モデルを用いて自己免疫性心筋症による心不全と比較して、細胞内シグナル伝達の違いを検討する予定である。
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