研究課題/領域番号 |
09670748
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
吉川 勉 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20174906)
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研究分担者 |
高橋 寿由樹 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20286470)
岩田 道圭 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30276224)
安斉 俊久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60232089)
前川 裕一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90296575)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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キーワード | βアドレナリン受容体 / 心筋症 / 心筋梗塞 / リモデリング / グアニン結合タンパク質 / 心肥大 / Gタンパク質燐酸化酵素 / アンカップリング |
研究概要 |
この4年間で非虚血性の心不全モデルとしてβ1アドレナリン受容体を介する家兎自己免疫性心筋症を、虚血性心不全モデルとしてラット心筋梗塞モデルを作成した。自己免疫性心筋症モデルでは6ヶ月間の免疫によって血行動態上拡張障害を主徴とする瀰漫性の左室肥大を呈し、病理学的検討では心筋細胞肥大、配列の乱れ、間質の繊維化を認めた。βアドレナリン受容体シグナル伝達の解析では受容体のアンカップリングを認め、その背景として抑制性Gタンパク質とGタンパク質燐酸化酵素(GRK)タイプ5の増加を認めた。これらの変化はβ遮断薬ビソプロロールによって予防された。In vitroでの検討では自己抗体を有する家兎から抽出したIgG分画はアゴニスト様作用を有し、"inverse agonism"作用をもつβ遮断薬ビソプロロールはこの作用を用量依存的に抑制することが明らかとなった。従って、本モデルでは自己免疫機序によって産生された自己抗体が持続的アゴニストとして作用し、心肥大とシグナル伝達の異常をきたしていることが窺われる。 ラット心筋梗塞モデルでは左前下行枝の結紮後6週間で左室はリモデリングを受け、心不全に陥ることを確認した。本モデルではβアドレナリン受容体のアンカップリングとともにGRK2とプロテイン・キナーゼCのεアイソフォーム(PKCε)の増加を認めた。短期間のアンジオテンシン受容体拮抗薬の投与によってGRK2とPKCεの増加は抑制され、アドレナリン受容体のアンカップリングも改善した。このことは心室リモデリングの進行過程の中で活性化されたレニン・アンジオテンシン系が細胞内クロス・トークを介してアドレナリン受容体のアンカップリングを来たし、心不全の顕在化に寄与していることを示唆する。
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