MABS-1細胞には動脈硬化症を研究する上での新たな特性を有することが判明した。MABS-1細胞は誘導性一酸化窒素合成酵素を発現しており一酸化窒素産生能を有していた。NADPH酸化酵素によって生じる活性酸素の作用により強い酸化能を持つ過酸化一酸化窒素を産生することが明らかとなり、MABS-1細胞自体がLDLを強く酸化する可能性を示した。われわれはMABS-1細胞が変性LDL貧食によって特異的に発現するmRNAを検出するためデファレンシャルディスプレー法を行った。変性LDLはアセチル化LDLを用い、特異的な発現蛋白質を明らかにしやすくするため対照にラッテクスビーズ、大腸菌粒子、杉花粉アレルゲンを用いておこなった。mRNAの採取は投与後16時間後に行い、Catorimox14TMとPCI法を組み合わせた方法によりOD260/OD280比1.8以上の高純度のRNAを回収した。そのRNAからcDNAを作成しアイソトープで標識した後、電気泳動を行った。その結果、それぞれの刺激による特異的なバンドを複数検出したが、現在、そのバンドからDNAを抽出しcDNAライブラリーを作成している。そのcDNAをプローブとしてノーザンブロットを行い特異的発現分子を確定し、cDNAの配列を決定する予定である。
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