数年前には、非常に高価な研究マシン上でしかできなかったコンピューターグラフィックスが、低価格の計算機と市販の廉価なソフトウエアで行うことが可能になり、我々も低価格でできる三次元再構成システムを開発し、心臓・大血管疾患における臨床応用を検討してきた。これまでの方法では、体軸断面像から三次元再構成を行ってきたが、湾曲蛇行する管状構造の描出が難しく、心臓全範囲の多断面が必要であった。また、重なり合う構造を同時に描出した場合、後方に位置する構造の評価が困難であった。そこで、モデリングに改良を加え、多方向MR画像を用いることで、各方向の少ない断面数で三次元再構成を試みた。体軸・矢状・冠状の多方向断面を利用するための3軸画像データの空間的位置合わせは、各位置決め画像上で3軸斬面像の各枚数、スライス厚、スライス間隔および第一番目の断面の位置情報を入力することで行った。モデリングの改良は抽出した輪郭点データから目的とする構造の重心を求め、重心を直線でつなぎ、自然スプライン関数を用いて中心軸を決定し、中心軸に垂直な投影面を設定し、この面に輪郭点データを投影し、投影面上で輪郭線の修復処理を行い、元の空間に再投影してワイヤーフレーム画像を作成し、表面レンダリングを行った。また、一部構造を半透明にすることにより、重なり合う構造を評価できるようにした。大動脈弁輪拡張症および修正大血管転位症で三次元再構成を試みたが、これら改良工夫により、大動脈・肺動脈等の湾曲・蛇行する管状構造が自然に描出された。また、重なり合う構造も半透明にすることで、よく理解できるようになった。多方向画像を用いることにより、各軸断面の少ない断面数で良好な三次元再構成像が作成できた。これにより、日常のルーチンで行うMR検査データを用いて三次元再構成が可能となり、ひいては三次元動画像の作成にも応用できると考えられた。
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