研究分担者 |
太田 孝男 熊本大学, 医学部, 講師 (70185271)
田代 英一郎 福岡大学, 医学部, 助手 (20271439)
白井 和之 福岡大学, 医学部, 助手 (80268995)
熊谷 浩一郎 福岡大学, 医学部, 講師 (10248510)
自見 至郎 福岡大学, 医学部, 助手 (30226360)
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研究概要 |
【目的】eNO合成酵素(eNOS)エキソン7のミスセンス変異率を本邦人冠動脈硬化症患者で同定し、アンジオテンシン変換酵素(ACE)I/D多型との相加効果を含め検討した。【対象及び方法】冠動脈造影で有意狭窄を認めた患者432名(患者群)と正常コントロール207名(正常群)。対象者末梢血500μlより抽出したDNAからeNOS遺伝子をPCR法を用い増幅後、直接DNAシーケンス法にてGlu^<298>(GAG)→Asp(GAT)の遺伝子変異を3枝病変患者に確認した。その後制限酵素Ban IIを用い、その点変異の遺伝子変異率を検討した。ACE遺伝子(イントロン16)-287bp(insertion/deletion)多型も同時に分析した。【結果】eNOSミスセンス変異率は患者群で16.7%、正常群で7.6%(P=0.002)だった。患者群では1,2,3枝病変群間には発現頻度に有意差はなかったが、PTCA後再狭窄(+)群は(-)群に比較して有意に変異率が高値を示した(27.1% VS 12.5%,P=0.031)。多重回帰分析ではeNOSのこのミスセンス変異は冠危険因子として有意に関わることを確認した(P=0.032)。ACE 1/D多型も同時にスクリーニングし、eNOSのミスセンス変異者でACE DD型の存在は冠動脈硬化症の相対危険度が高く[Odds Ratio 4.71(2.32-9.58,P=0.039)]、特に底リスク群において、その相対危険度はさらに高値を示した[Odds Ratio 11.56(5.15-25.91),P=0.010]。【総括】1)eNOS遺伝子、エキソン7 Glu^<298>→Aspのミスセンス変異率を冠動脈硬化患者で同定した。2)この変異は冠動脈硬化及びPTCA後再狭窄のリスクとなりうる。3)ACE DD型の合併はさらに冠動脈硬化症のリスクを増大する可能性が示された。
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