研究課題/領域番号 |
09670775
|
研究機関 | 川崎医療短期大学 |
研究代表者 |
平松 修 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 講師 (50208849)
|
研究分担者 |
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医用工学, 助教授 (10152365)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医用工学, 教授 (70029114)
望月 精一 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助教授 (60259596)
松本 健志 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助教授 (30249560)
後藤 真己 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 教授 (50148699)
|
キーワード | ハイスピードCCD生体顕微鏡 / ニトログリセリン / 微小冠循環 / 細動脈 |
研究概要 |
心臓は絶えず収縮弛緩を繰り返し、莫大なエネルギーを消費している。このエネルギー産生に必要な酸素や栄養素の供給路である冠動脈に狭窄が生じ自己調節能を超えると短時間のうちに虚血に陥り、最後には心筋梗塞を来す。ニトログリセリン(NTG)は虚血性心疾患の治療の代表的薬剤であり、その作用機序は、(1)冠動脈系を拡張させ心筋への酸素供給量を増加させる。(2)静脈容量血管を拡張させ、静脈系から心臓に戻ってくる血液量を減少させることにより、心仕事量を減少させる。という主に2つの作用が考えられている。NTGの冠血管に対する作用メカニズムは、心外膜側の冠血管についてはかなり解析されているが、心筋虚血に陥り易い心内膜側での冠細動脈に対する拡張反応については観察方法がないため評価されていない。そこで本研究では、心内膜側細動脈に対するNTGの拡張反応とダイナミックな反応性を新たに開発したハイスピードCCD生体顕微鏡を用いて直接観察し解析した。麻酔開胸ブタ10匹を用い、左心房を切開し、バルーンの付いたニードル型レンズを左心房から僧帽弁を通して心腔内に挿入し、心内膜側の細動脈を心拍動下でサイズ別(30μm〜100μmの細動脈、100μm〜300μmの小動脈)に血管径変化を心周期を通じて観察した。心内膜側細動脈の血管径変化はNTG投与前から投与後3分まで経時的に観察した。その結果、比較的大きな細動脈(>l00μm)の拡張反応はNTG投与後15秒で最大となり、その後徐々に減弱した。一方、小さな細動脈(<l00μm)はほとんど拡張反応は示さなかった。また、NTGは大きな細動脈の拡張末期から収縮末期までの血管径の変化を増強し、拍動性を増した。一方、小さな細動脈ではNTG投与前後で有為な変化は示さなかった。すなわち、NTGは比較的大きな細動脈を拡張させ、これらの血管の収縮期一拡張期の拍動性を増強することが窺われた。
|