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1998 年度 実績報告書

アドレノメデュリンの循環器疾患における病態生理的意義の解明と診断及び治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 09670776
研究機関国立循環器病センター

研究代表者

錦見 俊雄  国立循環器病センター研究所, 病因部, 室長 (80291946)

研究分担者 寒川 賢治  国立循環器病センター研究所, 生化学部, 部長 (00112417)
キーワードアドレノメデュリン / 心不全 / 心筋細胞 / 線維芽細胞 / 心筋梗塞
研究概要

申請者らはアドレノメデュリン(AM)の病態生理学的意義の解明を目的として、各種の循環器疾患の病態モデルやヒトにおける臨床研究により、以下の研究業績を挙げた。
1. 急性心筋梗塞患者の血漿AM濃度を入院直後より経時的に測定し、AMの病態生理的意義について検討した。AMは入院直後に既に健常者に比して増加しており、ピークは24-48時間であった。ピーク時のAM濃度は心筋梗塞サイズの指標であるCPK値や左室機能の指標であるLVEFと有意な相関を認め、心不全合併例でさらに高かった。AM濃度はその後徐々に低下し4週間後には正常化した。AM濃度は全身の血管抵抗と有意な相関を認めたことから、増加したAM抵抗血管を拡張するべく代償的に働いている可能性が示唆された。
2. 血漿AM濃度の源は血管壁(血管内皮、血管平滑筋)と考えられており、サイトカインがAMの産生調節に重要な役割を果たしている可能性がある。そこで心臓血管手術前後でのAMの変動とその病態生理的意義について検討した。血漿AMは麻酔直後では増加せず肺再灌流後に増加した。時間経過を詳細に検討すると、肺再灌流直前よりAMは増加しており、そのピークの値は手術時間と有意な相関を認めた。その後の経過では、血漿AMは約6時間でピークを取った後、徐々に低下し約3週間後には正常化した。以上の結果から心臓手術後に増加したAMは血管拡張ホルモンとして術後の体血管トーヌスの調節に関係している可能性が示唆された。
3. AMの遺伝子は心臓に強く発現することが知られているが、その作用機序については明確でない。そこで新生仔ラットの心筋細胞の培養系を確立し、心筋細胞、線維芽細胞におけるAMの分泌と作用機序について検討した。心筋細胞、線維芽細胞ともにAMを培養上清中にほぼ同程度分泌していた。AMは両細胞においてcAMPを濃度依存性に上昇させ、このAMによるcAMPの増加はCGRPの拮抗薬であるCGRP-(8-37)で両細胞において抑制されるが、その効果は線維芽細胞で心筋細胞より強く抑制された。AMは心臓においてオートクリン、パラクリン因子として異なった受容体を介して、少なくとも一部はcAMPを介して作用していると推察された。
4. さらに心臓におけるAMの産生調節を検討するために、新生仔ラットの心筋細胞、線維芽細胞について検討した。心不全時に亢進していると考えられるアンジオテンシンIIやエンドセリン、フェニレフリンなどは心筋細胞、線維芽細胞においてAMの産生、分泌を亢進させなかった。一方、サイトカインであるIL-1βやTNF-αは心筋細胞、特に線維芽細胞でAMの遺伝子発現と培養液中への分泌を著明に亢進した。以上の結果から、心不全時に亢進した神経体液性因子では主にサイトカインがAMの産生増加に関係していることが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Miyano Y.,et al.: "Increased plasma adrenomedullin levels in patients with acute myocardial infarction in proportion to the clinical severity." Heart. 79. 39-44 (1998)

  • [文献書誌] Yoshitomi Y.,et al.: "Plasma levels of adrenomedullin in patients with acute myocardial infarction." Clin.Sci.94. 135-139 (1998)

  • [文献書誌] Nishikimi T.,et al.: "Effect of adrenomedullin on cAMP and cGMP levels in rat cardiacmyocytes and nonmyocytes." Eur.J.Pharmacol.353. 337-344 (1998)

  • [文献書誌] Kario K.,et al.: "Plasma levels of natriuretic peptides and adrenomedullin in elderly hypertensive patients:relationships to 24h blood pressure." J.Hypertens.16. 1253-1259 (1998)

  • [文献書誌] Horio T.,et al.: "Production and secretion of adrenomedullin in cultured rat cardiac myocytes and nonmyocytes:stimulation by interleukin-1beta and tumor necrosis factor-alpha." Endocrinology. 139. 4576-4580 (1998)

  • [文献書誌] Nishikimi T.,et al.: "Increased plasma adrenomedullin concentrations during cardiac surgery." Clin.Sci.94. 585-590 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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