研究概要 |
我々の過去の検討から、電撃けいれんモデルにおいては、21日齢および30日齢マウスが、42日齢以上のマウスに比較して、有意な易けいれん性を示すことが明らかとなっていたので、21,30,42日齢マウスを用いて検討した。 GABA-A受容体作動薬muscimolおよび、NMDA受容体拮抗薬MK-801の作用を検討したが、いずれの日齢のマウスでも明らかな抗けいれん性を示した。一方、Histamine H1受容体拮抗薬のpyrilamine,ketotifenおよび、比較的選択性の弱いAdenosine A1拮抗薬であるテオフィリンは、それらの薬剤が選択性を示す薬用量では21日齢のマウスでのみ、易けいれん性を示した。 テオフィリンが、通常の薬用量かつ有効血中濃度範囲内にもかかわらず、乳幼児期において、まれに、重篤なけいれんを引き起こすことが臨床上知られている。今回の我々の知見は、これらの臨床事例を裏づけるものである。それゆえ、低用量のテオフィリンによる21日齢マウスの易けいれん性に焦点を当てて、この易けいれん性に対する臨床で使用されている抗てんかん薬の効果を検討した。抗てんかん薬として、phenobarbital(PB),phenytoin,carbamazepine,zonisamide,diazepam,nitrazepamを用いた。いずれも、電撃けいれんの抑制に必要な用量の数倍量を用いたが、先のテオフィリンの易けいれん性を抑制できたのは、PBのみであった。21日齢のマウスのもつ易けいれん性の検討においては、テオフィリンによる易けいれん性ひとつを取り上げても、NMDA,Histamineなどの各種神経伝達物質との相互作用について、検討することが必要となることがわかり、このことが、小児期における易けいれん性を解く鍵になるものと思われる。
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