小児の難治てんかんは、主要なものとして、大田原症候群、West症候群、Lennox-Gastaut症候群などが知られている。これらはある特異な年齢で発症する年齢依存性を示すが、てんかん発症の様態は全般けいれんが主体である。 我々は平成9年度において、全般けいれんを惹起させるため、電撃けいれんモデルを採用し、21日齢、30日齢マウスが42日齢以上のマウスに比較して有意な易けいれん性を示すことを明らかにした。またテオフィリンが選択性を示す用量では21日齢のマウスでのみ、易けいれん性を示した。これは臨床上、テオフィリンが通常の薬用量かつ有効血中濃度範囲内(中毒量以下)にもかかわらず、乳幼児期においてはまれに、重篤なけいれんを引き起こすことが知られていることを実験的に裏づけるものであった。 電撃けいれんはけいれん現象のモデルではあるが、てんかんのモデルではない。てんかんのモデルとしてはキンドリングがあるが、通常のキンドリングモデルは電気的に扁桃核などを刺激して作成する部分てんかんのモデルである。 そこで平成10年度は全般てんかんのモデルとしてペンチレンテトラゾールによるキンドリングを作成し、これに対して、けいれん惹起性やけいれん抑制性の薬剤の影響を検討することとした。平成10年度はペンチレンテトラゾールによるキンドリングモデルの作成に費やした。マウスでは連日の50mg/kgのペンチレンテトラゾールの膜腔内投与で、8日目でstage5-6のキンドリングが完成したが大半が死亡した。40mg/kgの投与ではstage5に到達するのに約20日を要し、キンドリングは不十分に思われたが死亡には至らなかった。 今後この40mg/kg投与のモデルを用いて種々の薬剤の影響を検討していく予定である。
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