研究概要 |
本研究の目的は、家系分析法による気管支喘息の責任遺伝子座を解析することである。 筑波大学小児科アレルギー外来及び関連病院の気管支喘息患者を発端者とする68家系140同胞対で、T-cell receptor(TCR)α鎖の存在する14番染色体およびT-cell receptor β鎖のある7番染色体を候補遺伝子領域とし、これらの候補遺伝子領域のDNA多型と、喘息およびダニ抗原に対するIgE免疫応答性との関係を罹患同胞対法を用いて調べた。連鎖解析はS.A.G.E.Software,SIBPALプログラムVer2.2を用いた。 気管支喘息およびダニ抗原に対するIgE免疫応答性とT-cell receptor β鎖およびその近傍の遺伝マーカーとの間には連鎖が認められた(喘息:TCR-β p=0.0069,D7S684 p=0.0017 ダニ抗原に対するIgE免疫応答性:TCR-β p=0.0013,D7S684 P<0.0001)。しかし、TCR-α遺伝子領域との間には連鎖は認められなかった。(p>0.1) 以上から、TCR-β鎖領域には気管支喘息およびダニ抗原に対するIgE免疫応答性を支配する責任遺伝子が存在することが示唆された。
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