研究課題/領域番号 |
09670787
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 篤 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (60221389)
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研究分担者 |
柿原 敏夫 新潟大学, 医学部, 助手 (70262433)
関東 和成 新潟大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 神経芽腫 / テロメラーゼ / マススクリーニング |
研究概要 |
神経芽腫症例の生物学的特性を明らかにするために、マススクリーニング発見例9例(以下、マス症例と略)を含む18例を対象として、手術的にあるいは生検により摘出された神経芽腫組織におけるテロメラーゼ活性を、fluorescence-based TRAP法を用いたDNA sequencerによる定量検査により測定した。テロメラーゼ活性の陽性率は、マス症例では100%(9/9)、マススクリーニングによらないで発見された症例(以下、非マス症例)では44.4%(4/9)であった。このうち、非マス症例では治療後の腫瘍組織2例、再発後の組織1例、神経節腫1例が含まれており、それらを除くと60%(3/5)の陽性率であった。治療後の2例と神経節腫1例はテロメラーゼ活性を検出しなかった。また、非マス症例の乳児例で陰性であった症例は、臨床的に予後良好とされているopsoclonus-polymyoclonia症候群(以下、op症候群)のケースであった。マス症例の乳児例が全例活性を認めていたことを考えると、op症候群の予後良好のメカニズムとテロメラーゼの抑制との関係を示唆する。陽性を示した症例におけるテロメラーゼ活性値は、14.22〜27.15unitsと全例が低値であった。病期やN-mycの増幅の有無、DNA ploidy、Shimada分類、TrkAなどの調べ得た予後因子とテロメラーゼ活性との間に有意な相関はなかった。今回は、解析できた症例数が十分ではなく予後不良の症例が少なかったため、テロメラーゼ活性と予後との関係で有意な一定の傾向を認めなかったが、マス症例については全例が低い活性を示し、生物学的には予後良好のタイプが大半を占めていることを示唆する結果であった。また、非マス症例に比べて、マス症例では低活性ながら全例にテロメラーゼ活性を認めたことにより、マス症例を中心に乳児期発症の神経芽腫は、その腫瘍の発生機構において低活性のテロメラーゼの働きが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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