これまでに、以下の2点に関して研究を準備、現在データ集積中である。 1)乳幼児期感染症による免疫・アレルギー反応 小児期EBV感染症は多くの場合不顕性に経過し、生体防御機構に対する影響は殆ど認められない。しかし、少数の症例においてはリンパ系の細胞に潜伏感染し個体の免疫能に大きな影響を与えることが知られている。したがって、EBV感染症は乳幼児期におけるウイルス感染と免疫系構築の相互作用のモデルとして、示唆に富む事実を与えてくれることが知られている。乳幼児期における免疫機構成立過程を理解するために、種々のEBV感染症を例に生体防御機構との関りを検討した。現在、種々の解析方法を開発、これらの手法をもとに臨床データを集積中である。主な手法は以下に述べるものである。 ・フローサイトメトリー法によるEBV感染細胞の同定と、感染細胞数の定量的評価 ・PCRを駆使した組織病変におけるEBV感染クローナリティーの検討 これらの手法を用いて、次年度にかけて以下の検討を遂行中である。 ・蚊過敏症におけるEBV感染NK細胞による病態形成 ・ウイルス関連血球貪食症候群におけるEBV感染様式の検討 2)乳幼児期アレルギー疾患における末梢血リンパ球、単球、好塩基球によるサイトカイン産生 Innate immunity(自然免疫)機構から、より抗原特異性の強い、洗練された免疫反応システムを成熟させる過程で、アレルギー疾患児はTH2優位の免疫反応を成立させていくことが示唆されている。このような、サイトカイン産生の偏りがどのような機構で起こるかは、まだ明らかにされていない。本研究では、アレルギー疾患児における初期免疫反応における、抗原非特異的エフェクター細胞の機能に注目し、それらが産生するサイトカインスペクトラムを検討中である。フローサイトメトリーによるサイトカイン産生細胞の同定、高感度ELISA法による培養上清中サイトカイン定量などを駆使して、末梢血白血球によるサイトカイン産生パターンを正常対照とアレルギー疾患児で比較検討中である。これらの検討も、次年度にむけて続行する予定である。
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