研究課題/領域番号 |
09670795
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
中込 美子 山梨医科大学, 医学部, 助手 (20198055)
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研究分担者 |
大山 建司 山梨医科大学, 医学部, 教授 (80051861)
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キーワード | 成長ホルモン / 成長ホルモン欠損ラット / 精巣 / 精祖細胞 / 精母細胞 / 精子形成 / Cyclophosphamide |
研究概要 |
性腺機能維持における成長ホルモン(GH)の関与について、化学療法による性腺機能障害からの回復過程において検討した。 1. 方法; 11〜14週令の雄性GH欠損ラットにCyclophosphamide(CP)50mg/kg/dayを2日間静注後、続いて10mg/kg/dayを3日間静注した。また、ラットGH(rGH)は0.3mg/kg/dayを連日皮下注した。ラットは対照群(生食を連日皮下注)、CP群(CPのみ)、GH同時投与群(CP+同時に開始する4週間のGH)、GH前投与群(CP+2週前から4週後までGH投与)に分けた。CP投与の2週後、4週後に屠殺して採取した精巣をPAS染色し、精細管断面の各段階の生殖細胞数、精子濃度、精子運動能を測定した。 2. 結果; (1) 2週後、4週後の精母細胞数の推移より、CPは精粗細胞タイプA、とくにステージVII以降の後期のものに強い障害を与えた。 (2) CP投与により、全ステップでの精子細胞数は減少した。精子濃度と精子運動能は2週後に低下していた。CPはパキテン期以降の精母細胞、精子細胞に直接作用して障害を与える。 (3) GHの併用により、(1)・(2)の精母細胞数、精子細胞数、精子濃度、精子運動能はCP群に比べて有意に改善した。ただし、精母細胞数の改善効果はステージXII以降はそれ以前に比べて弱い。 (4) GH前投与では、精母細胞数の改善効果は同時投与より弱く、精子細胞数では改善効果を認めなかった。 3. 結論; CPによる精巣germ cellへの障害は、精祖細胞・精母細胞・精子細胞すべての段階においてGH投与により軽減された。この効果はCP投与前からGHを作用させると弱くなり、精子形成に促進的に作用するGHが精巣germ cellのCP感受性を高めて障害が強くなるためと考えられる。
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