研究概要 |
近年、血小板産生刺激因子としてトロンボポエチン(TPO)がクローニングされた。このTPO刺激下で抗CD34抗体結合免疫磁気ビーズ法により得られた臍帯血CD34陽性細胞を無血清培養すると、選択的に巨核球が産生された。次いで、培養上清中のサイトカインをELISA法で測定した。さらにRT-PCR法とフローサトメトリー法で巨核球中のIL-8産生を検討した。 培養10日目の巨核球の培養上清中には数pg/mLのIL-1β、IL-6とともに、1,000pg/mL以上のIL-8が検出された。巨核球培養上清による好中球の遊走能を検討したところ、FMLP刺激時の半分の遊走活性がみられ、抗IL-8抗体によりこの活性は消失した。IL-8産生はTPO、IL-1αの単独刺激に比べ、両者の添加により相乗的に増加した。RT-PCR法およびフローサトメトリー法により巨核球自身がIL-8を産生することが明らかとなった。 以上より、TPOは巨核球の増殖分化を刺激するだけでなく、IL-1存在下で巨核球によるIL-8産生を促進することが示唆された。
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