研究概要 |
#ビスダイアミン投与ラット胎仔とWKY/NCrjラット胎仔における神経堤細胞誘導因子発現パターンの解明 1.妊娠10.5日のWister系母ラットにビスダイアミン200mgを胃ゾンテにて注入し、投与終了3時間後に屠殺、速やかに子宮を摘出した後、New(1973)の方法により4匹の全胎仔培養を開始した。胎仔を実体顕微鏡下で経時的に観察し、第3、4動脈弓形成時、第6動脈弓形成時、動脈幹分割時、心室中隔形成時に心臓の形態と循環動態をコントロールと比較した。その結果、2匹の胎仔で動脈幹分割前のループ形成期に心室腔の拡大と流出路の極端な蛇行が認められた。蛇行した流出路内の循環動態を実体顕微鏡下で観察すると、コントロールに比較して心室腔への逆流が多い傾向がみられた。また、これらの胎仔では耳原基の位置異常や上顎突起の過形成がみられた。 2.妊娠10.5日のWKY/NCrjラット胎仔4匹を同様の方法で培養し、同様の観察をしたが、明らかな形態的異常は確認できなかった。また、流出路の循環動態にも明らかな異常はみられなかった。 3.1,2の結果については、平成10年度にさらに多くの胎仔を観察して比較する予定である。 4.今後、これらの胎仔を2%パラフォルムアルデヒド溶液で固定後、ポリアクリルミド樹脂包埋し、50μの切片を作成の上、ファイブロネクチン、サイトタクチン、N-CAM、Nカドヘリンの抗体を用いて免疫組織染色を行う。そして、神経堤から心臓に至るまでの道筋を中心に、これらの発現を共焦点型レーザー顕微鏡(BioRad MRC 600)で三次元的に観察し、心血管奇形を生じる動物間での差の有無、及びコントロールと比較することで異常の生じる部位を明らかにしたい。
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