研究概要 |
本研究は小児気管支喘息の主要アレルゲンであるコナヒョウヒダニDer f2に対する安全な特異的減感作療法剤を開発することを目的としたものである。内容は臨床的研究と基礎的研究に分かれている。臨床的研究では、気管支喘息およびアトピー性皮膚炎患者におけるDer f2の重要性を皮膚プリックテストおよび特異IgE抗体の測定により明らかにし、Der f2の8番および119番システインをセリンに置換したりコンビナントDer f2(C8/119S)の特異的減感作療法剤としての可能性を検討した。小児気管支喘息では1〜4歳で67%が5歳以上では80%以上がDer f2に感作され、アトピー性皮膚炎児でも1〜4歳で29%が5歳〜10歳で74%が感作されており、小児アレルギー疾患におけるDer f2の重要性が確認された。コナヒョウヒダニアレルギー患者におけるプリックテストおよび末梢血好塩基球からのヒスタミン遊離活性においてC8/119S置換体はDer f2に比してそのアレルゲン活性は約1,000分の1であった。また、C8/119S置換体はDer f2以上に末梢血Tリンパ球刺激活性を示し、Der f2同様のIL-5、INF-γなどのサイトカイン産生を刺激し、Tリンパ球認識エピトープを保持していることが明らかになった。基礎的研究では、C8/119S置換体による減感作作用機序を明らかにするためDerf2特異TH2クローンの作成を行いT細胞anergyの生化学的内容を検討することが出来るようになった。以上より、C8/119SはT細胞エピトープを保持したアナフィラキシー活性の極めて低い安全な減感作療法剤になりうることを明らかにし、その作用機序に基づいた免疫学的指標を検討することが出来た。
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